RayoNAGOYAオフィシャルサイト

練習が始まる、その前の20分に ——子どもは、勝手に育っていく

連載「中学年代で育てたいもの」第5回

前回まで、中学年代で育てたい力と、その先にある姿についてお話ししてきました。今回からは、その力が、日々の練習の中で、実際にどう育っていくのか。RayoNAGOYAの、いつもの風景をお見せしたいと思います。

まずは、練習が「始まる前」の話から。

誰も、何も言っていないのに

練習の開始時刻より少し前。子どもたちは、自転車でグラウンドに集まってきます。そして、来た子から、自然にボールを触り始めます。

この、練習が始まる前の20分ほどの時間を、私はとても大切にしています。

見ていると、面白いのです。ある子は、黙々とリフティングをしている。ある子は、仲間とボールを回している。ある子は、グラウンドの端から端へ、ロングキックを繰り返している。誰も「これをやりなさい」とは言っていません。メニューもありません。完全に自由な時間です。

けれど、その自由な時間の中で、子どもたちは、自分の武器を磨いているのです。リフティングが好きな子は技術を、キックを伸ばしたい子はキックを。

誰にも言われず、自分で選んで、自分のためにです。

私は、この光景こそが、RayoNAGOYAが大切にしているものを、一番よく表していると思っています。「やらされる」のではなく、「自分からやる」。その姿勢は、こういったなんでもない時間にこそ、表れます。

コーチは、遠くから見ている

やがて、練習が始まります。

最初のウォーミングアップの時間、私はできるだけ、遠くから見るようにしています。
ボールを使いながら体を温めていく中で、あれこれ指示を出すのではなく、子どもたちが自分で、練習へのスイッチを、少しずつ入れていくのを待つのです。

私が声をかけるとしたら、それは「今、周りの状況をちゃんと見ているか」とか、「うまくいくか分からなくても、挑戦してみよう」といった、考え方の種になるような言葉だけ。
細かい動きを、一つひとつ指示することはありません。

メインの練習でも、基本的には、黙っています。全体に関わる大事なことは伝えますが、「こう動け」という具体的な指示は、あえて出しすぎないようにしています。代わりに、子どもたちそれぞれが、自分なりに考えて解釈できるような、余白のある言葉を選びます。

なぜか。指示を出しすぎると、子どもは「言われた通りに動く」だけになってしまうんです。余白があれば、その子は、自分の性格や特徴を活かして、自分なりのプレーで応えようとする。そうやって、選手一人ひとりに、その子だけの「見えている景色」が育っていく。それが、自分で考えて動ける選手への、いちばんの近道だと、私は思っています。

火曜日と、水曜日のちがい

同じ一週間の中でも、子どもたちの姿は、日ごとに変わっていきます。

新しい練習に出会う火曜日は、みんな、まだ手探りです。どうすればいいのか、それぞれに探りながらプレーしている。声も、あまり出ません。

ところが、水曜日になると、変わってきます。火曜日の経験から、「こうすればうまくいくかもしれない」という答えを『自分でつかんだ子』が出てくるのです。すると、こんな声が飛び交い始めます。

「逆っ、逆の方がいいぞ!」——味方に、もっと良い選択肢を教える声。

「もっと前で、こっち見といてよ」——自分がボールをもらいたい場所を、仲間に伝える声。

またある日には、空いているスペースをどう使うかがテーマの練習で、作戦を話し合う時間に、一人の子がこう言っていました。「俺がここを空けるから、そこに相手が入ってきたら、次はここが空くじゃん」。——自分が動くことで、その先に何が起きるかまで、考えている。

これらは、私が教えた言葉ではありません。子どもたちが、自分で考え、自分の言葉で、仲間に伝えているのです。火曜日に黙って探っていた子が、水曜日には声を出している。その変化を、私はいつも、そばで見ています。

疲れている日は、無理をさせない

もちろん、いつも順調なわけではありません。

疲れが抜けていない日は、子どもたちも、なかなか集中できません。そういう日は、練習の時間を短くしたり、メインの練習で切り上げて、自主練習やミニゲームで、リフレッシュすることもあります。

「やらせれば、頑張るだろう」とは思います。子どもは、言えば頑張ってしまう。けれど、私は、そこで無理に「やらされること」を教えたくないのです。疲れているのに我慢して頑張る、という経験ばかりを重ねると、「サッカーは、やらされるもの」になってしまう。それは、その子のこの先に、良くない影響を残すと思うからです。

だから、疲れている日は、無理をさせない。——その代わり、元気な日には、しっかりと求めます(笑)。

練習は、グラウンドの外から始まっている

そもそも、良いコンディションで練習に来られるように、私は、日常の過ごし方についても、子どもたちに声をかけています。

「昨日、何時に寝た?」「部屋のエアコン、何度にしてる?」「ちゃんとごはん食べてきた?」——サッカーの話ではなく、生活の話です。

というのも、良いプレーは、グラウンドに立つ前から始まっているからです。睡眠が足りていなければ、集中できない。暑さで寝苦しければ、疲れが抜けない。食事が不十分なら、体が動かない。どれだけ良い練習をしても、その土台となる毎日の生活が整っていなければ、力は伸びていきません。

だから私は、子どもたち自身が、自分の体と生活に、意識を向けられるようになってほしいと思っています。これも、「自分で考えて動く」力の、大切な一部です。誰かに管理されるのではなく、自分で自分のコンディションを整えられる。そういう力は、サッカーを離れても、その子の一生を支えてくれます。

こうしたゆるめるところと求めるところ、そしてグラウンドの外への目配り。そのすべては、子どもを一人の人間として見るからこそ、できることだと思っています。

次回は

日々の練習は、派手ではありません。けれど、その積み重ねの中で、子どもたちは確実に、自分で考える力を育てています。

次回も、RayoNAGOYAの現場から、子どもたちが成長していく風景を、お伝えしていきたいと思います。

お子さんが、誰にも言われずに、自分の武器を磨いている。——そんな姿を、一緒に見守っていけたらと思います。

RayoNAGOYAでは、子どもが「やらされる」のではなく「自分からやる」姿勢を、何より大切にしています。その雰囲気は、文章だけでは伝わりきりません。ぜひ一度、練習体験にお越しください。

▶ 体験のお申し込みはこちら(リンク)

Share / Subscribe
Facebook Likes
Tweets
Hatena Bookmarks
Pinterest
Pocket
Evernote
Feedly
Send to LINE

日本サッカー協会認定グラスルーツ推進賛同パートナー