連載「中学年代で育てたいもの」第1回
「土日の部活って、本当になくなったんですか?」
先日、ある6年生のお母さんに、申し訳なさそうにそう尋ねられました。お子さんは、あるクラブでサッカーを続けてきた男の子。来年からは中学生。「部活で続けさせるつもりだったのに、土日がないなら、週末はどうすればいいのか」と。
その隣で、お子さんは黙ってボールを蹴っていました。決して飛び抜けて上手いわけではありません。けれど、ボールを受ける前に一度だけ、ふっと顔を上げて周りを見ていました。私はその「顔を上げた一回」を見て、こう思ったのです。——この子は、これから伸びる。
お母さんが知りたかったのは、制度のことではありませんでした。本当に聞きたかったのは、もっと素朴なこと。「うちの子は、これからどこで、どんなふうにサッカーを続けていけるのだろう」。今日は、その問いを一緒に考えてみたいと思います。
まず、事実を整理させてください
2025年の10月から、名古屋市立中学校の土曜日・日曜日の部活動は、大会への参加などを除いて、行われなくなりました。これは「これから検討する話」ではなく、すでに始まっている現実です。
代わりに登場したのが「地域クラブ活動」と呼ばれるものです。地域のさまざまな団体が週末の活動の場を提供し、生徒は専用のサイトから自分で申し込んで参加します。学校や住んでいる区を越えて、いろいろな子が集まる仕組みです。
ここで、ひとつだけ誤解されやすい点をお伝えします。平日(月曜から金曜)の部活は、これまで通り続きます。 なくなったのは、あくまで土曜・日曜の部活です。ですから「部活が完全に消えた」わけではありません。正確には、「平日は部活、土日は別物」という形に変わった、ということです。
この変化が、保護者にとって何を意味するか
一見、制度の細かい話に聞こえるかもしれません。けれど、お子さんの3年間を考えると、これは決して小さな変化ではないのです。
これまで、多くのご家庭が「中学は部活で十分」と考えてきました。理由は、はっきりしています。部活なら、追加の費用がほとんどかからず、毎日学校で活動できたからです。週末も含めて、サッカーに打ち込める環境が、無料で手に入っていました。
ところが、土日の部活がなくなった今、部活だけを選んだお子さんは、週末の活動の場を自分で探さなければならなくなりました。 地域クラブ活動に申し込むのか、それとも週末は何もしないのか。ご家庭ごとに、選択を迫られる時代になったのです。
つまり、「部活か、クラブチームか」という昔ながらの二択は、もう以前ほど単純ではなくなりました。部活を選んでも、週末をどうするかという問いが、必ずついてくる。ここを抜きにして、お子さんの進路は考えられなくなったのです。
「クラブチーム」は、上手い子だけのものでしょうか
冒頭のお母さんは、こうもおっしゃいました。「クラブチームって、上手い子が行くところですよね。うちの子のレベルでは、場違いじゃないかと思って」。
このお気持ちは、とてもよく分かります。けれど、ひとつだけお伝えしたいことがあります。
クラブチームと言っても、その中身は実にさまざまです。勝つことを最優先に、上手な子だけを集めて鍛えるチームもあります。一方で、一人ひとりの成長を丁寧に見て、サッカーを通じて人として育てることを大切にするチームもあります。同じ「クラブチーム」という言葉でも、目指しているものは、まるで違うのです。
ですから、本当に大切なのは「部活かクラブか」を選ぶことではないのかもしれません。「お子さんに合った環境は、どこか」を選ぶこと。 クラブを選ぶにしても、「どんなクラブか」を見極めることのほうが、ずっと大事なのだと思います。
部活には、部活の良さがあります。同じ学校の仲間と毎日を過ごし、学校行事と地続きの時間を過ごせる温かさがあります。クラブチームには、専門的な指導と、力を試せる試合の機会があります。どちらが上ということではなく、お子さんがどんな3年間を過ごしたいか、それによって答えは変わってきます。
次回は、「どんなクラブか」の見分け方を
土日の部活がなくなったことで、ご家庭が向き合う問いは、確実に増えました。けれど、それは悪いことばかりではありません。これまで「なんとなく部活」で済ませてきた選択を、お子さんのために、もう一度丁寧に考え直す機会でもあるからです。
次回は、その「どんなクラブか」を、保護者の方がどんな視点で見分ければいいのかを、書きたいと思います。月謝の意味、指導者の見方、試合に出られるかどうか——チーム選びで本当に見るべきところを、一緒に整理していきましょう。
最後に、冒頭の男の子の話を。あの「顔を上げた一回」は、誰かに教わったものではありませんでした。彼が自分で、周りを見ようとした結果です。中学年代は、こうした「自分で考える力」が、ぐんと伸びる時期です。どんな環境を選ぶかで、その伸び方は変わります。——お子さんにとっての「いい環境」を、これから一緒に探していけたらと思います。
RayoNAGOYAでは、サッカーを通じて「自分で考えて動ける選手」を育てることを大切にしています。少人数だからこそ、一人ひとりに目が届く環境です。ご興味のある方は、まずは練習体験にお越しください。
