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「おれが決めていたら、勝てた」 ——その悔しさは、誰のものか

連載「中学年代で育てたいもの」第3回

前回は、試合が予想を裏切るからこそ、自分で考えて動ける力が大切だ、というお話をしました。今回は、ある選手が試合のあとに口にした、ひとことから始めさせてください。

「おれが決めていたら、勝てたのに」

0対7だった相手と、0対0

その相手とは、少し前に対戦して、0対7で負けていました。力の差は、はっきりとありました。

そして、再びその相手と試合をする日が来ました。結果から言うと、試合は0対0の引き分けでした。あれだけ点差のあった相手に、一点も取られなかった。これは、選手たちが自分たちで考えて、守り方を変えた成果でした。誰かに指示されたからではなく、ピッチの上で、自分たちで気づき、声をかけ合い、守備の形をつくり直した。チームは、確かに成長していました。

——けれど、その試合のことを、私はもう少し別の角度から、お話ししたいのです。

その0対0の試合には、決定的な場面が一度ありました。前線の選手の前に、ゴールへの大きなチャンスが転がってきた。決めていれば、勝てた。けれど、その選手は、外してしまいました。

試合が終わったあと、その子は、ひどく悔しがっていました。そして、ぽつりと言ったのです。「おれが決めていたら、勝てたのに」と。

誰にも言われていないのに

私は、その子に「なぜ外したんだ」とは言いませんでした。

言う必要が、なかったからです。その子は、誰に責められるまでもなく、自分でわかっていました。あの場面は、自分が決めるべきだった。あそこで決めていれば、チームは勝てた。その責任を、その子は、自分から引き受けていたのです。

ここに、私が中学年代で育てたいものの、核心があります。

子どもが何かをやり遂げられなかったとき、大人はつい、こう言いたくなります。「どうして決められなかったんだ」「次はちゃんとやれ」と。けれど、本当に育っている子は、大人がそう言う前に、もう自分で悔しがっています。自分のプレーの意味も、その場面での自分の責任も、ちゃんとわかっている。

「おれが決めていたら、勝てた」という悔しさは、誰かに植えつけられたものではありません。その子の内側から、自然に湧いてきたものです。自分のことを、自分で引き受けている。 これは、サッカーの技術よりも、ずっと大切なことだと、私は思っています。

責める悔しさと、自分の悔しさは、違う

ここで、ひとつ大事なことをお伝えしたいと思います。

同じ「悔しい」でも、二つの種類があります。

ひとつは、大人に責められて生まれる悔しさです。「なんで外したんだ」と叱られ、怒られないように、次は失敗しないようにと、外から押しつけられる気持ち。これは、その場では子どもを動かすかもしれません。けれど、長くは続きません。やがて子どもは、「怒られないこと」が目的になってしまう。

もうひとつは、自分の内側から湧く悔しさです。「決めたかった」「チームのために、自分がやりたかった」という、自分自身の願いから生まれる気持ち。こちらは、誰かに見られていなくても、消えません。次への力に変わっていきます。

あの「おれが決めていたら、勝てた」は、まぎれもなく、後者でした。だからこそ、私はその悔しさを、そっと見守ることにしたのです。余計な言葉で、その子の中に芽生えた本物の責任感を、外からの叱責にすり替えてしまわないように。

見守るとき、見てほしいこと

お子さんがサッカーをする姿を、保護者の方もご覧になることがあると思います。そのとき、ぜひ見てみてください。

うまくいかなかったとき、お子さんは、どんな顔をしているでしょうか。コーチや親の顔色をうかがって、「怒られないかな」と気にしているでしょうか。それとも、自分自身に対して、本気で悔しがっているでしょうか。

その違いは、その子がどんな環境で育っているかを、静かに映し出します。私たちが大切にしたいのは、後者です。子どもが、自分のプレーを、自分のものとして引き受けられること。勝っても負けても、そこに自分の意志があること。

中学の3年間は、技術が伸びる時期であると同時に、こうした「自分で背負う力」が育つ、かけがえのない時期です。コーチや親が背負わせるのではなく、子どもが自分から背負えるようになる。その姿を、私はいつも、まぶしく見ています。

次回は

「おれが決めていたら、勝てた」と悔しがったあの子は、その後どうなったか。——悔しさを自分のものにできる子は、伸びていきます。次回は、そうして育った子どもたちが、中学を卒業したあと、どんなふうに歩いているのかを、お話ししたいと思います。

中学年代で育てたいものは、目の前の一勝ではありません。その先の、ずっと長い道を、自分の足で歩いていける力です。

RayoNAGOYAでは、子どもが自分のプレーを自分で引き受け、自分で考えて成長していく姿を、何より大切にしています。その雰囲気は、文章だけでは伝わりきりません。ぜひ一度、練習体験にお越しください。

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