ついにこの日がやって来た。
いまの3年生との思い出を語るには、考えた綺麗な文章では伝わらないので乱文になるかもしれないが思いのたけを書き残す。
とうい・ゆうい・かんた・りゅうが(4名:RayoNAGOYA)・ゆいと(グランパス名古屋)・しょう(FC名西)・こうらい・わたる(2名:西中FC)・じゅんけん(一色中サッカー部)
彼らとのジュニアユース最初のトレーニングは4月。
コロナウィルスという未曽有の危機にさらされ、先行きの見えない中でのスタートだった。
2期生である彼らは、器の大きな1学年上の先輩の優しさにいつも見守られ、のびのびとサッカーに向き合い存分に良さを発揮していた。
先輩とふざけて遊び、練習がない日まで公園でサッカーをし、思うがままに過ごし全員が居場所を作っていく。Rayoの良さは、その頃生まれたのかもしれない。
1期生のラストマッチでは、自分の家族を送り出すかのような思いをもって全力でプレーし、それでも勝てなかった悔しさをあらわにした。
そんな頼れる後輩の姿に感謝していた3年生の顔を、今でも覚えている。
先輩たちは口々にこう言った。
「みんななら絶対に強くなれる」
「こんなに仲の良いチーム他にはない」
「がんばって…」
最上級生となった4月から彼らの活動が本格的に始まる。
今まで笑いながらいい方向に導いてくれた先輩が不在。
それでもいつものように立ち振る舞う。
もともと個性の強さが特徴な学年のため、当然意見がぶつかり合う。
そこにはもう頼れる先輩はいない。
練習後の言い合いも日常茶飯事。
「普通相手の背後取れてる俺にパス出すだろ!」
「取られるくらいならパスしろよ!」
意見をまっすぐにぶつけ合う。
しかしそんな中で、『かけがえのない絆』が生まれた。
大きく舵を切ったのは5月末。
「自分が良いプレーをしたい」そんな思いしかないチームに初めて雷を落とした。
「なんだこのゲーム。自分たちの気のゆるみで失点して今までにいくつ勝ち点を落としたんだ。絶対に勝ってこい」
先輩たちの「みんななら絶対に強くなれる」「こんな仲が良いチームは他にはない」という言葉を勘違いしている選手の心に火を付けたかった。指導を始めて選手を怒ったのはこの1度のみ。
ゲームには勝利したものの、「本当に言ってよかったのか」と今でも自問自答する。
それからチーム作りも変化させた。
各ポジションごとで原則原則を整理し詰め込んでいく。
自分だけではもちろんうまくいかない。
けどRayoには絆がある。
本当に困った時には仲間がいる。
仲間とどこよりも強い絆で結ばれた選手たちを信じた。
トレーニングではサッカーを学び、試合でそれを活かして勝利を目指す。
基準を明確にすることでチームは成長を見せる。
トレーニング中の一瞬の気のゆるみで一気に置いていかれる環境に変えていった。
全員試合には出場するものの、トレーニングに意欲的に取り組み、成長していくメンバーを選びスタメンとした。
そうしたことで、3年生が油断した隙をついて1・2年生が試合に出場していく。
初めは
「なんでおれじゃないんだ」
という思いがあったが、試合に出場していく後輩が目に見えて成長。
彼らは取り残されていった。
しかしそんな選手を救ったのはいつもチームメイトだった。
「おれが試合に出るためにはどうしたらいい?」
「おれの良さはなんだ。どうしたらチームのために必要な選手になれる?」
そんな仲間の言葉に耳を傾け
「お前は絶対にチームに必要な選手だから頑張れ」
「結局頑張るのは自分にしかできないだろ、悩んでるくらいなら何かやってみろ」
と背中を押した。
夏過ぎ頃からゲームの内容にかなりの変化が見られるものの、なかなか結果が伴わない。
真剣に進路と向きあう選手たちが県内県外の部活や学校の体験に行く中で、3年生が全員揃うことはなく、時には慣れないポジションでゲームを行う。
そしてラストゲームの日となった。
10人で勝ったトライルとの試合。残り10分でひっくり返した碧南FCとの試合。
彼らには関係者ではない方からも歓声が沸き、拍手をしてもらえる力が備わってる。
この日も寛太は前日の自主練で負傷してしまい出場不可、じゅんけんが高校の模試の為欠席。
ただ、自分たちにできるのはそれを悔やむことではなく、いなくても勝利を届けることだと分かっていた。
選手全員が「自分のチーム」として戦う気持ちに満ち溢れていた。
試合前は『よし行こう!』この言葉だけで十分。
願うことはただ1つ『見ている人たちが感動する試合をして欲しい』ただそれだけだった。
開始すぐにセンターバックのボールを奪われ失点を許す。
「俺たちは絶対に負けない」
選手の顔つきが変わり、動きが格段に良くなる。
球際での強度が上がり、ゴールへのい強い意志を見せる。
同点弾は翔。
りょうま(2年:西中FC)が前線に送り込まれたボールを、もの凄い速さでチェイシングしてボールを奪取。
翔につないだボールをそのままペナルティエリア外からシュート。
強い意志の乗ったシュートは相手をはじきゴールに突き刺さる。
3年生の頑張りに1・2年が応える。
えいと(RayoNAGOYA)・ひろたか(AVANCO)・りょうま(西中FC)がコートを縦横無尽に走り回り、あおい・あつは(1年:RayoNAGOYA)がゲームを安定させた。
その後、翔と唯斗が追加点を重ね前半で3-1。
ハーフタイムになっても
「唯斗もっとサイド仕掛けていいよ」
「球際で負けたら意味ないじゃん、強くいこうぜ」
と気を抜くことはない。
不安な所は
「相手サイドバックが持った時にボール持たせといていいですか?カバーシャドウして寄せますか?」
と的確に質問してくる。
後半になると、相手がリスクを負わず人を捕まえに来る。
ぽっかり空いたバイタルをなかなか使えず膠着状態。
システム変更をし、守備と攻撃に厚みを出す。
それが功を奏し、徐々に押し込んでいくがスコアは動かない。
残り15分に長期離脱していたゆうい、残り3分にかんたをピッチに送り出す。
終了間際のピンチはあおいが慌てずに対応し、そのまま3-1で試合終了
彼らのジュニアユースでの公式戦はすべて終了した。
【リーグ結果】
U15リーグ 12位/16チーム 得点27 失点28
サッカーのもつパワーを信じ、選手と共に作り上げてきたチームの挑戦は終わりを告げた。
Rayoに所属する選手は本当によく笑い、よく話をする。
もちろん小学生の名前を中学生が呼び、中学生のことを「ねぇ、こうらい」と呼ぶことも日常茶飯事である。
サッカーで身に付けることができるもの「規律・思いやり・チームワーク・・・・」
もちろんすべて重要だが、いまの子どたちは
「自分なんかができることは限られている」と自己肯定感が低く・当事者意識も低い。
サッカーは仲間を信じ、自分の存在や力を仲間が信じさせてくれる。
2期生を終えて、ここまで『チームを愛し』『仲間を尊重し』『感情を出しているチーム』を見たことがない。
そして仲間との最後のゲームで、ここまで寂しさを表すチームは見たことがない。
『かけがえのない仲間とサッカーを』
きっとそれこそがRayoの武器。
今年も最高のチームになりました。
応援ありがとうございました。
そして歴史は繋がっていく。。