いつもとは少し違う顔ぶれで迎えたトレーニングマッチ。
試合が始まってすぐ、右サイドにズレが生まれました。
人に付く。
背後が空く。
押し込まれる。
そしてコーナーキックから失点。
大きく崩れたわけではありません。
でも、どこか歯車が噛み合わない。
守ろうとする気持ちはあるし責任感もある。
だからこそ、全員が下がる。
気づけば、前に残る人がいない。
守れているのに、攻撃の時間がない。
その景色を見ながら、胸の奥に少し引っかかるものがありました。
「このまま整えるべきか」
「それとも、あえて触れないか」

ハーフタイム。
守備を整理することもできました。
配置を細かく指示することもできました。
でも今回は、「問いを置く」ことを選びました。
「なぜCFがあのスペースに行っているのか」
「前に残る人がいないと、何が起きるのか」
答えを与えれば、きっとすぐ整う。
でも、それは本当にこのチームの成長なのか。
正直に言えば、少し怖さもありました。
変化がなければ、来週のリーグをスイッチの入らないまま迎えてしまう。
沈黙になったらどうする。
目が逸れたらどうする。
でも、彼らは違いました。
IHは、自分の感じていた違和感を言葉にした。
キャプテンは、仲間に要求した。
誰かを責める空気ではなく、どうすればよくなるかを探す空気があった。
その瞬間、胸が熱くなりました。
『このチームは逃げない。うまくいかない現実からも、目をそらさず、真正面から向き合ってくれる』
後半、右のWGは人に付くことをやめました。
ほんのわずか、立ち位置を変えました。
劇的な変化ではありません。
でも、確実に景色が変わりました。
守備で奪い、チャンスが生まれる。
まだ決めきれない。
まだPAに入る回数は少ない。
それでも、確かに前に進んでいる。
この日の一番の収穫は、勝敗ではありません。
問いを置けば、彼らは向き合う。
信じれば、応えてくれる。
その確信が、静かに、でも強く、心に残りました。



守れるようになったチームは、次に“刺す勇気”と向き合う。
その日は、きっと近い。
