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【監督コラム】『心の成長はいつでもできる』

5月、私は子どもの授業参観に行きました。

学校教育の場で、子どもたちの姿が見られるので、私はこのイベントが大好きです。

今回は英語の授業。

私が到着すると、このような質問を先生がしていました。

「among(~の間)と同じ意味の単語があったよね。わかる人!!」

「だれもいないならヒント、最初はbで最後はn、だれかわかったかな!?」

...

「bの次はeで、、、、、nの前はe!!」

・・・・・

答えないどころか、何の反応もない生徒に先生は言いました。

「先生、何か反応して欲しいな。うなずくとかなんでもいいからさ。。。」

・・・・・・

学校の教育の「いま」が見えた瞬間でした。

 遡ること5年。コロナウィルスが確認され緊急事態宣言が出されていた時、今の中学2~3年生は小学3~4年生。

小学3~4年生といえば、友達との関係を最も重要視し、集団の中での自己肯定感や所属意識を強く求める『ギャングエイジ』という人生でとても重要な期間。「仲間作り」の時期とも呼ばれ、友達と一緒にいることで安心感を得たり、共通の目標や価値観を持つことで絆を深め、集団での立ち振る舞いやリーダーシップ、集団行動を覚えていきます。
 その経験を経て人との違いを認め、その先に『「周りの子がイヤなことで、自分がイヤではないこと」をやってあげよう。というような『少し大人な部分』も成長してきます。


そういった機会が、「ソーシャルディスタンス」という造語によってが強制的に奪われ、マスクによって表情も感情もわからず、人との関わり方がわからない世代になりました。

そして彼らは「他人を尊重している」と言い、他者との関りをうまく避ける世代となってしましました。

サッカーにおいても多くの場面で、関りを避ける傾向が見られました。

様々な球技や簡単なスポーツ鬼ごっこを行っても、チームとしてのまとまりに欠け、グループワークでは積極性に発言する姿はほとんどありません。責任を負う行動を極力避け、小学生のように「周りの中のひとり」でいることに安心感を覚え、投げかけに対する返答も学校の授業のようでした。

そんな中、クラブとして行ってきたのは「サッカーではない活動」

母の日にはみんなで「お母さんへの感謝の気持ち」をフラッグに書き

夏には野外活動で川を下りました。

年明けミーティングではみんなで話し合い、「チームと個人」の目標を決めました。

また「養老の滝」に遠足に行き、5月には山登りをしました。

そのような活動を重ねていくと、少しずつ『周りと自分』の関りをうまく取る行動が増えてきました。

ある選手は私に言いました。

『コーチ、センターバックをやりたいです』

入ってきたころには、目を合わすとすぐにそらしてしまい、自分の意見を言うこともできない子でした。

そのような子が、私の前にきて真っすぐ目を見て言った言葉に、正直に感動しました。

サッカーだけの話をすると、もしかしたら『NO』と言う方が本人とチームのためなのかもしれません。

ただ、選手の人間的な成長を考えたとき、責任ある行動に対して『YES』という返答が私にできる事でした。

それからその選手は自分の発言に「責任と覚悟」を持ち、練習に励んでいます。

毎年同じ学年に関わっていても、全く違う学年の性格を持っています。

サッカーだけでなく人間的な成長もしっかりと考え、これからも子どたち一人ひとりと向き合っていきたいなと思います。

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